月刊『日本橋』2014年10月号 No.426

シンボーの日々是好日

南伸坊

青雲の志を抱いた少年が、ひとり夜汽車に乗っている。うす暗い車内。窓には月に照らされた、田んぼと山影が走り去って行く。と、いきなり汽笛が吠えるのである。
「ピーーッ!」
あれ? ポーーッ! だったかな、ブェーッみたいな気もするし、ボェーッ、のような音でもある。
あの汽笛というものは、いっぺんにいろんな音を出してるのだそうだ。ゴジラの吠える声というのも、たしかいろんな音を混ぜて作ってるって聞いたけど……
「検索してあげようか?」
と言うので、ツマにやってもらうと大変なことになってしまった。
このジャンルには、ものすごい人数の専門家がいるので、とても詳細すぎる答えが、これでもかという具合に出てきてしまうのだ。……(つづきは本誌で!)

明治の日本橋区「今月の事件簿」 十月の巻

林 丈二

ほぼ百年前、明治時代の旧日本橋区でおきた事件簿。いずれも他愛ないことばかり、古い順にご紹介しよう。

● 明治十一年(1878年)十月三日
当時の小新聞「東京絵入新聞」は、世間の片隅で埋もれそうな話を、しっかりと拾って載せている。
今は京橋区の新栄町五丁目二番地に住む鈴木お菊(四十四歳)は、瓦解(がかい)前には、日本橋青物町で徳川家の御用達をしていた朝日何某方へ縁付き、お福という子をもうけ、名前に合う朝日の昇るように、大層な暮らし向きであった。……(つづきは本誌で!)

※イラストは当時の挿絵、按摩家業をするお福。記事では十五六の小娘に見えるというのだから、もう少し小柄に描いてほしいと思うが。

 

江戸時代、大奥に納められていた化粧刷毛

【逸品】化粧用ブラシ

江戸屋

江戸時代、大奥に化粧刷毛を納めていたという江戸屋。
古くから女性の美しさを支えてきた江戸屋の化粧用ブラシは、昔ながらの技法で職方が一本一本丹念に作りあげており、自然のままの毛先を生かした穂先はチクチクせずなめらかで、肌を撫でるような優しい使い心地。リス毛は繊細な毛質で柔らかく、パウダーが肌の上でふんわり浮くようにのるので自然な仕上がりを叶えてくれる。
チークブラシもあり、共に約15cmという絶妙な長さの柄がしっくりと手に馴染む。
そして、書道や絵画用と同じ製法で作られるイタチ毛のリップブラシは、しなやかでコシがあり、ワンストロークでムラ無く口紅を塗り広げられる逸品だ。……(つづきは本誌で!)

特集 この秋、日本橋でアートに触れる

画廊めぐり

忙しい毎日に、ちょっとでもアートを取り入れたら、生活がぐっと豊かなものになるかもしれない。
美術館もいいけれど、日本橋は画廊の宝庫。
せっかくなら、個性的な画廊の楽しみ方も知ってみたい。
みるだけで大丈夫。
肩肘はらず、日本橋の画廊に足を運んでみよう。

三溪洞
日本橋の旦那衆が集った、創業明治4年の老舗画廊。明治以降の著名な作家の絵画、工芸作品を中心に扱う。

不忍画廊
池田満寿夫、駒井哲郎などの近代美術の作家から、山田純嗣はじめ最新の現代美術作家まで扱う異色の画廊。……(つづきは本誌で!)

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