月刊『日本橋』2014年6月号 No.422

今月の特集 ■河岸
校正-1

 

“河岸”と聞いて、何を思い浮かべますか?
築地市場の魚河岸を連想する方もいるのではないでしょうか。
築地市場の水産部と青果部は、かつて江戸の草創期から昭和10年まで日本橋川沿いにあった魚河岸と、京橋川沿いにあった大根河岸が移転してできた大市場。
そう、〈河・川〉の〈岸〉にあるマーケット、それが“河岸”です。
“河岸”は、日本橋を物流の中心地として栄えさせてくれました。
日本橋に河岸があった時代を、のぞいてみましょう。

校正-2

〜日に千両の落ちどころ 日本橋魚河岸〜
日本橋には、江戸時代の草創期から塩、米、油など生活物資を扱う河岸が集まり市場群を形成していた。その中で、最も繁栄したのが魚河岸である。日本橋の北詰(神田方面)の東側には川沿いに魚問屋が軒を連ね、1日に千両(現在でいう2〜3億円)落ちるといわれた一大マーケットであった。魚は平田船(左図)など小船で運ばれ、川岸に設けられた生簀に卸して鮮度を保つ工夫もされた。現在、日本橋の袂の乙姫の広場には、魚河岸発祥の碑が建っている。

校正-3

〜今はなき京橋川沿いの青果市場 京橋大根河岸〜
日本橋の魚河岸と一緒に昭和10年(1935)に築地市場に移った、京橋大根河岸。かつて、日本橋と同じく擬宝珠を冠した京橋が架かっていた京橋川沿いに、この青物を扱う河岸は広がっていた。現在、京橋川は埋め立てられ往時の面影はないが、築地の青果卸売会社、仲卸のメンバーから成る〈京橋大根河岸会〉による記念碑が建っている。今年は京橋大根河岸の350周年にあたるので、京橋大根河岸会は大根を配布するイベント開催している。

【今月の表紙】
一勇斎国芳
「日本高名英勇伝 佐藤忠信」
大判 嘉永5年(1852)湊小版

6月号【連載】人物語 
大和悠河さん

元宝塚男役トップスター。明治座6月公演『細雪』に出演
明治座6月公演は谷崎潤一郎原作の舞台『細雪』。谷崎潤一郎は明治19年(1886)蛎殻町生まれの日本橋ゆかりの文豪。関東大震災後の関西移住を契機に日本の伝統文化に回帰し、『陰翳礼讃』や『細雪』を発表した——。舞台は昭和10年代、日本が戦争に向けて大きく動き出すなか、大阪船場の老舗木綿問屋・蒔岡商店に生まれ、蝶よ花よと育てられた美しき四姉妹たちの華やぎを描く。四姉妹で最もハイカラで、手に職をつけて自立の道を切り開いていく四女・妙子を演じるのが、大和悠河さんだ。上演回数1400回を超える伝統の舞台に、元宝塚男役トップスターが出演するのは初めてとなる。「宝塚時代は男役として、いわゆる〝女殺し〟の役を務めてきましたが、『細雪』の妙子はその真逆の〝男殺し〟。昭和41年の初上演以来、様々な方が演じてきた役ですが、私なりの妙子、ファムファタールを演じられたらと思っています」と意気込む。(続きは本誌で!)

6月号【連載】逸品 肉鮮問屋 佐々木  特選和牛しゃぶしゃぶ(黒酢たれ)

肉鮮問屋・佐々木で、名物の寿喜焼と共に人気なのが、写真の特選和牛しゃぶしゃぶ。銅鍋の茹だった湯に、美しいロース肉をサッとくぐらせたら、つけダレは胡麻ダレとポン酢の二種類。胡麻ダレもいいが今の時期はさっぱりとポン酢で食べるのがおすすめ。佐々木特製のポン酢には柑橘の果汁が入らず……(続きは本誌で!)