月刊『日本橋』 2016年1月号 No.441

特集  江戸の居酒屋

庶民の味方、居酒屋。今や当り前のように何万軒という居酒屋が町に溢れ、新・忘年会に飲み会と年中重宝されているが、約400年前の江戸時代にはわずか数十軒だった。なぜ居酒屋は幕末にかけて激増したのか。当時、日本橋界隈にあった居酒屋の話を交えながら、江戸で誕生した居酒屋の暖簾をくぐり、その風景をのぞいてみよう。

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●特集はまだまだ続きます。ぜひ本誌を手に取ってご覧ください!

【今月の表紙】
新板子供遊びの内 春の遊び
大判 天保(1830〜1844)後期 伊勢屋利兵衛版

 

【1月号連載】人物語 第262回 福田隆さん

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「組台の上板の部分を“鏡”といいます。組んでいるときの気持ちが、上板の中心に集まった組目に反映されるからです。この由来が好き。自分と組紐に誠心誠意向き合わなければならないと思わされるんです」と話すのは、日本橋富沢町にある帯締め・帯揚げの製造卸〈龍工房〉の代表取締役社長・福田隆さん。昨年3月に組紐の東京都伝統工芸士に選出された、江戸組紐の職人である。

1959年千葉県市川市生まれ。祖父の代から組紐職人で、龍工房は今は亡き父・万之助さんの手によって1962年に創業された。小さい頃は、「背中を見て育つということもなかった」と、組紐一筋で多忙な父親と遊んだ思い出もなく、生業である組紐に触れる機会もなかったが、大学生の頃、よく出入りしていた伯父のマンションでとある雑誌と出会ったことで、大きく変わる。(続きは本誌で!)

【1月号連載】逸品 象彦 艶消 汁椀(溜色・朱色)

日常的に使うものこそ、長く愛用できるものを選びたい——。写真は、まさに日常使いの逸品。寛文元年(1661)創業の京漆器の老舗・象彦製の艶消汁碗だ。艶消しならではの落ち着いた質感で、鮮やかな朱色と深みのある溜色の二種類。溜色は朱漆で下塗りし、その上に半透明の〈き漆〉を重ねることで下地の色がほんのり透け、使い込むほどに朱漆が冴え、違った風合いが楽しめる。天然の木(ケヤキ)で作られた素地は軽く、しっくりと手に馴染み、また、縁に少し反りが入っているので、口当たりが良いのもポイント。漆器は熱伝導率が低いため、……(続きは本誌で!)

【1月号連載】新連載第2回 東京っこ身の丈語り 林えり子

お元日は、そりゃあ新品の下着に外出着とまではいかないまでもふだん着とは違う物を着て、髪だっていつもならぼさぼさのまま猫にご飯をあげるけど、この日ぐらいはきちんとドライャーをつかい、猫たちもまっさらな首輪である。

しかし、つぎに何をするかが、一人身となって以来の問題。洗いっぱなしの顔じゃあね、と思いつつ「誰に見しょとて紅鉄漿つきょうぞ」なんてセリフが頭をよぎる。

家族うち揃って「あけましておめでとう」なら、それなりに紅くらい差して席につくところだが、見る人が誰もいない元旦なのだ。まあいいか、になりがちである。

その結果、小汚いばあさんになるかも、の怖れから薄化粧ぐらいして、仏壇に若水を供え、先に逝った夫の写真を睨みつける。

……(続きは本誌で!)