月刊『日本橋』 2015年11月号 No.439

特集  第十八回 川柳大会

 秋の恒例「川柳大会」。今年も日本全国から約2500の句が寄せられました。それぞれのイメージで日本橋を詠んだ句、明るいニュースや時事問題、流行ネタ……世相と呼応した、いずれ劣らぬ秀作・力作が揃いました! 選者はおなじみ、川柳学会専務理事の尾藤一泉さん。みなさんの心を打つ作品はどれでしょうか!

 

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「たしかな目で詠む川柳」
尾藤一泉さん

五輪へと高まるムード日千両  山野大輔

江戸っ子の自慢に一日千両の金が動くという場所が三つあり、古川柳にもなっています。
八百の上ばへおちる日千両
「八百」は「江戸八百八丁」のことですが、日本橋魚河岸、吉原の五丁町そして芝居町には、それぞれ日に千両が動いたといいます。五輪という時事と、その経済効果を暗示するような「日千両」というコトバの遠近法により、五輪への期待感が一句から感じられます。エンブレム問題や野球賭博などでチョッと水を差された感もある東京オリンピック。それでもオリンピックムードは、明るい気分にさせてくれます。大賞として、大きな作品が選ばれました。

社保で消え機構で漏れる他人事  舛岡祥吉

〈大賞〉も時事的な作品でしたが、〈一泉賞〉も時事から。社会保険庁で消えた年金問題が多少記憶から去ろうとしていた矢先、今度は日本年金機構から、年金加入者の個人情報が漏れるという粗相。……特集はまだまだ続きます。ぜひ本誌を手に取ってご覧ください!

【今月の表紙】
橋本屋白糸
大判 嘉永四年(1851) 住吉屋政五郎版

 

【11月号連載】人物語 第260回 柳家権太楼さん

「私と一緒に逃げないかい」——。一人の女性が、父親の意に反し惚れた男と深川木場から駆け落ちした。そして昭和22年、二人の間に一人の男児が生まれる。柳家権太楼さん、人生の幕開きである。
 時は流れ、昭和33年東京タワーが完成。母親に買ってもらった分厚いガリ版刷りの落語全集を手に、喜ぶ小学五年生の権太楼さんの姿が北区滝野川にあった。その6年後には東海道新幹線の開業と同時に東京オリンピックが開催。日本が経済大国として大きく成長を遂げていこうとする時代であった。
「追分だんごを食べさせてやるからと、稽古事の好きなお袋に連れられて……(続きは本誌で!)

【11月号連載】逸品 京橋千疋屋レストラン Biwawa 蝦夷鹿のロースト レフォールソース

明治14年(1881)創業の京橋千疋屋。日本橋の千疋屋総本店からの暖簾分けで、独立して130余年のいわずと知れた高級果物の老舗だ。京橋本店をはじめ、関東のデパートを中心に14店舗を展開するが、本店2階にフレンチダイニングを構えているのをご存知だろうか。その名も〈Biwawa〉。2002年のオープン以来、確かな味で老若男女問わず愛され続けているBiwawaで、今の時期におすすめなのが、ディナーコースのメインの一品〈蝦夷鹿のロースト〉。秋はジビエの季節、その代表格である鹿肉は、濃い赤色の見た目から敬遠されがちだが、……(続きは本誌で!)

【11月号連載】シンボーの日々是好日189 南伸坊

先月、ちょっと勇み足ぎみに「日本橋でおばけになるゾォー」宣言をしてしまったんだけど、いま、これを書いてる時点が、10月19日。
つまり、あと6日間しかないんだけど、おじいさんがなろうと思ってる「やかん」のおばけのモトが、次頁の図のような状態です。
つまり、かぶりものにする、紙でできた「やかん」の制作状況。一見したところは、ゆがんだ提灯状の物体が出来てるだけ。です。これを作るについては、新聞紙をたくさん丸めて、このくらいの形になるまでレジ袋につめました。
そうして袋の口を輪ゴムでしめといてから、習字につかう半紙を、紙吹雪よりやや大きめの三角形に切ったものに、刷毛で水に溶いた木工用ボンドのノリをペタペタとたっぷりつけたものを、どんどん貼っていきます。……(続きは本誌で!)